相続税の事前対策 生前贈与について
相続税の事前対策として、検討していただきたいのが生前贈与です。生前贈与を行った場合、暦年課税(その年の1月1日から12月31日までの1年間の贈与が課税対象)では110万円の基礎控除がありますので、受贈者が贈与により取得した財産が年間合計で110万円以内であれば、贈与税は課税されません。
そこで、例えば3人の相続人に対して年間110万円ずつ贈与を行えば、年間330万円、10年間続ければ3300万円の財産を無税で承継させることができます。相続税の限界税率が20%の方の場合は660万円の節税効果があります。
相続人に対する贈与は相続開始前3年以内の場合は「生前贈与加算」(相続税法19条)の対象となりますので、亡くなる前3年間の贈与額を相続財産に含めて相続税の計算をすることになりますが、相続人以外(例えば相続人である子の配偶者や相続人ではない孫)への贈与であれば、生前贈与加算はありませんので、これらの者へ贈与することも選択肢として考えられます。
生前贈与加算の対象となるのは、「相続又は遺贈(遺言による財産の贈与)により財産を取得した者」ですが、その財産の中には「みなし相続財産」(相続税法3条)が含まれ、生命保険金や退職手当金などが対象となります。相続人以外の者が生命保険金等の「みなし相続財産」を取得した場合には生前贈与加算の適用対象となりますので留意が必要です。
生前贈与については、暦年課税の基礎控除を利用する方法以外にも、相続税の限界税率と贈与税の実効税率の差を利用して節税を検討する方法もあります。詳しくご検討されたい方は是非お気軽にご相談ください。