相続税の事前対策 固定資産の交換特例の活用
個人が土地や建物を売却すると売却益に対して譲渡所得課税がなされますが、土地と土地、建物と建物など、同種の固定資産を交換した場合には一定の要件を満たせば譲渡所得課税の対象にはなりません。
具体的には、➀同じ種類の固定資産であること以外に、➁交換による取得する固定資産は譲渡する固定資産と同じ用途に使用すること、③双方が1年以上所有しているものであること、かつ交換のために取得したものではないこと、④交換により取得する固定資産と譲渡する固定資産の時価の差が高い方の価額の20%以内であることが必要です。
この場合には、譲渡所得は課税されませんので、これを相続税の対策に活用することが考えられます。
例えば、交換により被相続人が取得した土地に適用できる小規模宅地等の特例による評価減の割合が、交換前に所有していた土地に適用できる小規模宅地等の特例による評価減の割合よりも高い場合には、交換を行うことにより、被相続人の所有する資産に対する相続税の課税価格を引き下げ、相続税額を節減することが可能となります。
具体例で考えてみますと、例えば、親子が同居しており、その敷地(土地A:時価5000万円)が子(相続人)の名義になっているとします。親(被相続人)がこれとは別に貸家を持っておりその敷地(土地B:時価5000万円)を所有しているとしましょう。土地Aと土地Bの時価はほぼ同等ですからその他の交換特例の要件も満たすのであれば、事前に土地Aと土地Bを交換することが相続対策としては有効です。
なぜなら、相続が発生したとき、いずれの場合も小規模宅地等の特例が適用できるのですが、交換前は土地Bに対して貸付事業用宅地等として50%の評価減(評価減後2500万円)が適用されるのに対し、交換後は土地Aに対して自宅の土地である特定居住用宅地等として80%の評価減(評価減後1000万円)の適用になりますので、相続税の課税価格が大幅に(この事例では1500万円)減少することになるからです。
実際にこれを実行するにあたっては上記以外に不動産取得税等も考慮する必要がありますが、節税の効果が大きいことは確かです。詳しくご検討されたい方は是非、弊事務所にお問い合わせください。